事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故や、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。
ハインリッヒの法則では、１件の重大な事故・災害の背後には２９の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような３００の出来事が存在するといわれています。
大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。
また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。
作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。
事故の状況
（受電電圧・契約電力）6600 V ・ 300 kW
（事故発生の電気工作物）高圧架空電線
当事業所は，アスファルトの製造工場であり， アスファルトプラント工場の機械修理を 5 日前から行っていた
機械の修理工事が完了し、プラントの試運転を行うため作業責任者がプラント操作室に入った。
しばらくすると、事務所の上を通過している高圧架空電線から火花が発生するとともに、爆発音が聞こえて、付近一帯が停電した。
この時点で、電力会社の GSR(異相地絡継電器）が動作し、波及事故となった。直ちに作業責任者は、当事業所が事故点である旨、電力会社に連絡した。
事故の対応
電力会社の職員が来所し、事故点を確認して電力会社の柱上気中開閉器を開放し、当事業所を除いて、配電線は復旧した。
作業責任者は，保安協会に事故発生の連絡をした。
保安協会の検査員が現場に到着し、事故点を確認すると 、校内１号柱と ２号柱間の高圧架空電線が３線とも切断され， 事務所の屋根に垂れ下がっていた。翌日、高圧架空電線を張替え本復旧となった。
事故の原因
アスファルトプラント工場の機械修理が完了した際、レッカー車を操作していた作業員が高圧架空電線に気づかずブームを上げたまま 移動してしまい、高圧架空電線を切断してしまった。
高圧架空電線の接近工事であったのに、保安協会へ連絡をしなかったため、保安協会の検査員は立ち会うことができなかった。
事故再発の防止対策
工場内で，改修又は修理工事を行う場合には、必ず保安協会と十分な打合せを行い、立会いを求める。
構内１号柱上に地絡保護装置付高圧気中負荷開閉器を取付けることにした。
まとめ
作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。
使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。
働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。
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