現在は技術の進歩により、自家用電気工作物で使う設備も安全度が高くなりました。しかし、絶対に事故が起こらないわけではありません。
保全における点検の役割とは、機械が故障する前に故障の予兆を察知して調整や部品交換等の処置を行って、何事も無かったかのように運転を継続させることです。
それでは内容を勉強していきましょう。
点検・試験及び測定目的と考え方
点検・試験及び測定は,保安規程に基づいた事業場の自家用電気工作物が技術 基準に適合しているか否かについて確認し,電気事故を未然に防ぐための予防保全を図ることが目的である。また,事業場の設備に最も適した点検・試験及び測 定を行い,必要によりトレンド管理して対策を講じていかなければなりません。
また、設備の高信頼化と省エネルギー化は時代の要請でもあり、設備の改良及び使用合理化の推進に必要な測定についても、よりいっそうスキルや能力などを鍛えて設置者に指導・助言ができるようになることが大切です。
点検・試験等の意義と相互の関係
点検・試験等は、新設時の竣工検査は技術基準に適合しているか否かの判定を行うのに対して、月次点検・年次点検等は現状把握だけでなく、その試験データにより将来を判断して必要な対策を講じなければならないので、設備の使用状態及び老朽化度も十分考慮して点検・試験の範囲を決める必要があります。
したがって、保安規程に記載されている月次点検・年次点検等についてはそれらが単独のものと考えたり、これらをひと通り実施しておけば点検・試験は十分だという錯覚に陥らず、これらの各種試験の相互関係をよく考えて効率的で有効な点検・試験及び測定を実施することが必要です。
竣工検査は、電気設備が技術基準等に適合しているかを確認するための点検・試験であるので、その方法、手順も目的にあったものが必要となります。月次点検は、電気設備の使用状態で、異常の有無・不具合の前兆の把握及び電気設備の不安全・不適当な使用状態の把握のために点検・測定を行うものである。
また、電気設備に損傷を与えるおそれのある工事の施工予定等の調査を行う、目視点検を主とし計測器類等による測定が行われています。
臨時点検は、事故発生の場合に原因究明やその他必要に応じて行うものと、異常状況の原因究明のために行うものがあり、その状況に応じた試験方法が必要とされます。
また、電気使用合理化と省エネルギーの問題は、今後いっそうの努力が要請されます。それには、日常の設備管理と電力管理等を通じて現状の把握に加えて試験・測定等が必要となります。
試験であるので,そ の方法,手順も目 的にあったものが必要となる . 月次点検は,電気設備の使用状態で,異常の有無・ 不具合の前兆の把握及び電 気設備の不安全・不適当な使用状態の把握のために点検 ・測定を行うものである.
試験など外部発注の場合の留意事項
保安規程によれば、電気工作物の巡視、点検及び試験は事業所の設置者が電気管理者と協 議のうえ、これを的確に実施するものとなっています。 したがって、電気管理技術者に責任があることは明確となります。電気管理技術者が責任者になって年次点検を実施する場合は問題ないが、種々の理由で外部専門業者に依頼する場合は次の項目について注意が必要となります。
⑴試験・測定の目的と範囲を明確化について、年次点検A,年次点検B,使用合理化のための試験など点検範囲を明確化する必要があります。
⑵ 報告書の内容について、単なる試験データでよいのか?試験・測定方法機材まで要求するのか?対策案まで要求するのか?トラブル解明の場合には原因究明まで要求するか?
⑶責任体制の確保と安全確保について、点検委託業者の指揮命令系統の体制の徹底等を求めて、安全作業を確保させる必要があります。
⑷事故発生時の責任の明確化について、最も重要な事項で万が一事故が発生した場合に、電気管理技術者等と業者の責任範囲を明確化できるよう文書で確認しておくことが必要です。
点検・試験実施の心得
点検の実施には次の点に留意すること.
⑴ 作業にあたっては常に安全に注意し無事故を心がけること。
⑵ 事故防止・非常事態については随時調査・研究を行い、対策を確立しておくこと。
⑶ 月次点検・年次点検を通じて電気工作物の現状を総合的に診断し的確な対策と処置ができるよう努めること。
⑷ 現状設備の維持だけでなく、設備の安全と高信頼度化及び電気使用合理化のため改良・改善に努めること。
受変電設備の試験及び測定
一般的な設備の新増設時には、絶縁耐力試験(製作工場で JEC,JISに定められた耐圧試験に合格していることが確認されているもので 、設置場所でもその性能が維持されると判断できる場合は、現地では常規 対地電圧 ( 通常の運転状態で系統に加わる対地電圧 ) を電路と大地間に加えることで所要の絶縁性能を満たしているものと認定することができ る。技術基準の解釈の改正 ,平成10年9月10日 ) と、シーケ ンス試験である。その他、試験 ・測定はほとんど年次点検時と同様である。
まとめ
有効な点検を行う為には、点検内容をその機械が必要とする内容にしていく必要があるということであり、それを安易に点検項目を減らし、点検周期を延ばし、点検内容を簡略化することにより効率化を図ることは危険なことです。
快適で豊かな生活を営むうえでなくてはならないものとして、私たちの生活に溶け込んでいますが、電気は、生活を豊かにする一方、取り扱いを間違えると、私たちの安全・安心な暮らしを脅かすような事故を招くことがあります。
点検や試験の大切さについて、本ブログが、皆様の理解の一助となれば幸いです。
働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。
コメント