【電気事故事例】出力電圧の変更時に発生した設備事故(電気主任技術者 必見)

事故防止
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事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。

大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。

また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。

作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の状況

事故の当日,主任技術者は,単相 10Vの変圧 器 の 出 力 電 圧 が 95 V と 低 い の で , 105 V に 上 げるため,変圧器のタップ切替作業を 1人で開 始した.

8時 10分, LBS(高圧交流負荷開閉器)開放, 進相用コンデンサの端子 に工事用接地線を取付 けた.変圧器の上ぶたを取 外し,タップを 6750Vから6300Vに切替え, 変圧器の上ぶたをかぶせて押えネジを確実に締 めた.

9時 08分, LBSをフック棒で投入しようと したが,投入できなかった.

9時 10分, GR(地絡保護継電器)が動作し ていたが,別段,異常とは思わず, GRの復帰ポ タンを押してから,今度は強く投入した.その 時,異音とともに地絡事故が発生し,電カヒュ ーズ 2本が溶断する、と同時に,電力会社の DGR (方向性地絡継電器)が動作した.

9時13分, 6600V電源側に電圧がないこと がわかり,主任技術者は停電の原因は当需要家 だと東京電力(株)に連絡した.

9時 35分,電力会社の係員が到着し,東 京電力(株)の柱上気中区分開閉器が開放され, 配電線は復旧した.

9時 40分,他の機器は全く損傷を受けていないので,溶断した 2本の電カヒューズと残った 1本の電カヒューズを取替えた.

9時 5分, LBSが投入され,自家用側の復旧 が終了した.

事故の原因

工事の前に,安全対策として取付けた工事用接地線を工事終了後に取外すのを忘れ,かつ不用意に LBSを投入したことにより発生した.

もし,電カヒューズが全部溶断すれば,波及事故にはならなかったはずだが,不運にも 1本残 ったため事故になった.

事故再発の防止対策

当事故は,構内 1号柱上に地絡保護装置付区 分開閉器が取付けてあれば,波及事故とはなら なかったものであり,新たに設置することにした.

また, LBSをストライカ付に取替える.さらに,ケーブル・ヘッドが,旧タイプのケーブル終端箱(おかま型)のため,差込式耐塩形と取替える.
工事は 1人では実施せず,必ず補助員と 2人以上で行う.また,工事終了後には絶縁抵抗試験等必要な試験を必ず実施することとした.

(注)ストライカとは,ヒューズの 動作時に,所定の機械的動作をするヒューズリ ンク部分をいう.高圧交流負荷開閉器 (LBS)の限流ヒューズ (PF)を,ストライカ付限流ヒューズとすることにより,「溶断」または「遮断」動作したときには,まずストライカが作動する. 次に,これに接続する連動機構が作動し,開閉 器部が開閉動作を行う.

このため,ストライカ付限流ヒューズを組合 せた LBSは「欠相」を起こすことな く,事故時 電路を完全に開路することができる.

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。

使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。

働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。

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