【電気事故事例】電気室の侵入による感電事故(電気主任技術者 必見)

事故防止
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事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。

大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。

また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。

作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の状況

事故の当日, 18時ごろ被害者は同じ研究室の2人と学校から帰宅した.被害者は,自宅で食 事をして,テレビで野球を見た後,突然,遅れ ている修士論文が書きたくなり,登校すること にした.

学校に着き,グランドから自分の研究室を見たところ消灯しており,誰もいないことがわかった.大学院の入口を確認したが, 2時以降で あったため,扉は開かなかった (2時以降は校 舎内の人は外には出られるが,校舎外の人は内 部に入れなくなる.).そのため,他の建物のドアも見て回ったが同様に閉まっていた.

再度,大学院のドアが閉まっているのを確認した後,建物を見回したところ,少し開いてい る窓を発見した.被害者は,そこ がボイラ室だと直感した.ボイラ室であれば, 以前喫煙室として開放されたことがあり,良く 知っていたので,そこを抜けて教室に行こうと 思った.

その窓は,さびているらしく,かなりきつか ったがとにかく開いた.被害者は,身をせり上 げて,両足で窓枠に立ち,左手で窓枠をつかん で,侵入しようとした.ところが,不運にもそ こは電気室であり,内部の LBS二次側端子に 頭が触れ,内部にはじき飛ばされて落下した. 23時 20分ごろであった.

被害者が感電すると同時に,屋外キュービク ルの受電盤 DGR (地絡方向継電器),二次変電 室の GR(地絡継電器)が動作して,学校全体が 停電となった.

時間外研究届 (2時以降校内に残る場合は, 届出が必要)を出して残っていた他研究室の講 師と研究生が,停電の原因および状況調査のた め,校舎の外に出たところ,電気室の窓から, 身を外にのり出そうとしながら,うなっている 被害者を発見した.血だらけの被害者を,講師 がゴム手袋をして助け出し,救急車の手配を管財部職員に依頼した. 管財部職員は,主任技術者,電気担当職員,電気工事会社に連絡するとともに,管財部部長 に連絡した.

23時35分,救急車到着, 23時45分,消防車 到着,消防署職員 14名,パトカー 2台,私服警 察官 2名,捜査官 1名,電力会社の職員 2名, 更に救急車がもう 1台次々に到着し,あたりは 騒然とした.

0時 20分,電気担当職員が到着した.主任技 術者は病気療養中で,応動はできなかった.

0時 40分,電気設計事務所社員,工事業者が 現場に到着して,事故処理および停電復旧に当 たった.屋外のキュービクル受電盤を調べたと

ころ,電力会社からの送電はあり,波及事 故にはなっていなかった.

電力会社の職員は,警察からの連絡を受け て,かけつけたものであった.

1時 34分,事故のあったエレベータ用および 空調用変圧器部分を除き,遮断器を投入し復旧した.
警 察の現場検証は ,3 時 30 分 ごろ終了した . 14日15時,事故現場の清掃と 2度と事故のないようにお清めを行い,事故点の受電を行っ た.

事故の原因

14日 18時,病院に収容されている被害者に 事情聴取を行った.不法侵入した動機は,遅れ ている修士論文を書くために, とにかく大学院 内に入りたかった(論文の資料の実験データは, 教授の方針で持出し禁止,コピー禁止,研究室 内で学習することになっている.)とのことであ る.施錠が不完全で,公衆が電気室に侵入して 発生したものであり,電気室に簡単に入室でき る状況は非常に危険である.

事故再発の防止対策

・受変電室のフェ ンス,出入口,窓の戸締りと施錠を厳重にする.

・高圧危険,係員以外立入禁止の標識を新た に窓にも取付ける.

・保安規程の点検基準 の見直しにより, 1週 間に 1回の点検周期であるものを 1日1回以上 点検する.

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。

使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。

働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。

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