【電気事故事例】キュービクルへ無断侵入による感電事故(電気主任技術者 必見)

事故防止
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事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。

ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。

大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。

また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。

作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。

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事故の状況

 12月 19日の早朝,7時 49分に電力会社の配 電用変電所において, DGR(地絡方向継電器) が作動し, 6kV配電線の 1回線が停電した.

1分後の 7時 50分に再閉路継電器によって, 再送電されたが,再び DGRが作動して,この配 電線は停電してしまった.

電力会社の営業所から 5人が出動して事故捜 査に当たったが,事故点は発見できなかった.

課電式事故探査器によって,この停電中の配 電線に 15kV直流パルス電圧を印加したが,事 故電流が流れないため,地絡事故は解消したも のと判断して, 8時 18分に変電所の遮断器を投 入して送電した.

しかし,原因不明のまま放置した場合には, 再発の恐れがあることと,自家用側の受電設備において,異”常な事態が発生している可能性が 考えられることから,電力会社の営業所では, 原因究明に当たることとした.

事故捜査班を 3班編成し,この配電線から供 給を受けている 15軒の自家用施設を全部手分 けして点検していった.

事故捜査班が,ある貸事務所ビル(契約最大 電力 123kW)に到着して, 7階屋上に設置され た受電用キュービクルを点検したところ,扉は開放状態で,扉の内側には血痕が飛び散っていた.屋上を見渡したところ,負傷者がうずくまっ ていたので,直ちに救急車を呼んで病院に収容した. 収容先の病院で本人から事情を聴いたところ,被災者は,当貸事務所ビルの 4階に入居し ている電気工事会社の社員であった.

本人からの事情聴取と,現場の状況から判断 すると,事故発生の経緯は次のようである.

被災者は,前夜,遅くなっで帰宅できなくなったため,勤務先の事務所(当ビル 4階)に仮 泊したが,朝方になって寒さが厳しくなったの で,どこか暖い所はないかと考え,屋上のキュ ービクルに入ることを思いついた.

キュービクルの裏面に回って,扉のハンドル を強く回したところ,破損していた止め具がは ずれてキュービクルの扉が開いた.

被災者は採暖の目的で変圧器盤に入るつもりであったが,誤 って高圧受電盤の裏面を開けて しまっていた.

入ろうとした際, つまずいて靴が脱げ,転倒 しかけたので思わず手を伸ばしたところ,左手 が受電用 DS(断路器) の左側 (T相) 下端に触 れ,同時に,後頭部がキュービクルの扉内側に 接触したため,左手と後頭部に電撃を受けた.この時,配電線は 1回目の DGR動作によって停電した. 被災者は,扉にもたれかかったまま,いったん意識を失ったが,間もな く回復し,体制を立て直そうとして,今度は右手を上げたところ, 受電用 DSの右側 (R相)の下端に接触した.

この時,たまたま配電線の再閉路継電器が動 作して再送電されたため,今度は右手と後頭部 に電娯を受け, DGRが 2回目の動作をして配電線は供給支障事故となった. 被災者は,翌日の夜,収容先で亡くなった.

事故の原因

当自家用施設は,昭和 56年まで電気管理技術者が保安の確保に当たっていたが,この管理技 術者が病気で亡くなったあとは, 4年間,主任 技術者を選任しないまま放置されてきたもの で,保安管理はまったく不備であった.

また,キュービクルの扉の施錠が一部破損し ていたこともあり,不完全であ った .

事故再発の防止対策

受変電設備には ,露出した充電部があ ってもよいが,取扱者以外の者が近づかないように施設することが義務づけられてい る. そのためには,棚,塀,壁などで囲い,施錠したうえ,立入禁止の表示をしなければならな いことになっている.このため, 今 回はキュー ビクルの扉の施錠を 完全なも のとし,危険表示 も取付けた.電気主任技術者については,新た に電気管理技術者と委託契約を結ぶこととした.

まとめ

作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。

使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。

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働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。

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