事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。
ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。
大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。
また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。
作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。
事故の状況
事故の当日, 18時 17分,爆弾が爆発したよう な大音響とともに,電力会社の GSR(異相 地絡継電器)が動作し,付近一帯が停電した. 需要家は,ただちに電力会社と電気保 安 協 会 へ 連 絡 し た .
18時 35分,電力会社の職員が到着し, 当需要家に,事故点があることが判明した.
18時 40分,電力会社キャビネット内の 自家用側ヒ ゚ラジスコンが開放され, 配電線は 復旧した.
19時 45分,電気保安協会の職員が到着 した.調査の結果,高圧コンデンサが絶縁破壊 して,爆発によって波及事故になったことが判明した。
爆発した 15kVAのコ ンデンサと ,併設の 30kVAのコンデンサを撤去した.他の機器に異常 のないことを確認して, 7月 20日, 1時 40分 に受電自家用側の仮復旧が終了した.
7 月 31 日, 6 時 10 分, 5 0 k V A の 進 相 用 コ ン デンサを設償して本復旧となった.
事故の原因
進相用コンデンサの内部絶縁破壊により事故 に至った.当需要家には,過電流継電器が設置 してあったが,この事故では,需要家の過電流 継電器が動作すると同時に,電力会社の G SRも動作させてしまった.状況から推測する と,需要家の過電流継電器と,電力会社の 継電器の保護協調が,うまくとれていなかったと思われる.
事故再発の防止対策
進相用コンデンサに,限流ヒそーズ直結形コ ンデンサを採用した。
この需要家の受電設備は古く,全体的に見直 す時期にきていたと思われる.
特に,事故を起こした進相用コンデンサは, 昭和 38年製であり,取替えの時期をむかえてい た.
また、ふくらみに対して警報を発生するリミットスイッチを持っていれば,爆発にまでは至らなかった. 高圧用コンデンサを狭い電気室内に設置する場合には,コンデンサの周囲温度には十分な注 意が必要である.高圧進相用コンデンサの周囲 温度の最高は, JISC4902により 40°C (24時間 平均 35°C)とされている.
まとめ
作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。
使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。
働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。
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