電気は,その利便性の良いことことなどから,照明,電動機とその応用範囲を広げ続け,現代 の社会生活,産業活動に幅広く,深く浸透し,利用されている 。
関係者の努力によって,比較的低廉で,かつ,水と空気と同じよ うに供給され続けてきたことから,今日では一時でも途切れることの 許されない社会構造となっており,社会の存在となっている。発生してすぐに消費するので,多量に貯蔵することが難しいことから,事故などによる停電の情報化社会に与える影響は,極めて大きい.
一方,電気は,その取り扱いを一歩誤ると,感電死傷,漏電火災などの事故を起こす危険性をはらんでいる.
したがって,低廉で質の良い電気が,これからも継続して供給され続けるように,電気事業の健全な発達を図ることはもとより,電気を 供給する設備,電気を使用する設備,それぞれの電気工作物の信頼性 及び安全性が常に保たれ,供給支障及び人身災害などの事故を未然に 防ぐ管理が行われていなければなりません。
ここでは、このような電気工作物の区分や規制に関する手続きについて説明していきます。
選任の必要性
憲法において,公共の福祉に反しない限り職業選 択の自由が認められているにもかかわらず, 一部の識業について ,資格がないと従事できない ,資格のある者を選任しなければ ならないなどと,その関連する法律に資格制度が設けられ,資格を所有して いない者を排除している.
専門的知識・技能を保有していない者が従事又は選任された場合,生命の 安全,財産の保全,保安の確保などが計れないような業務(職業)については, 一般の者と比べて,より専門的な知識・技能を保有している者に資格を付与し,他の者を制限している. 例えば,電気主任技術者,電気工事士であり,医師,弁護士,宅地建物取引責任者,危険物取扱責任者などである. 電気主任技術者に選任されることができる者は,電気主任技術者免状の交付を受けている者であるが,この免状の交付を受けていない者であっても, 一定の条件を満たす場合において,通商産業大臣の許可を得れば選任することができる.
事業用電気工作物の主任技術者は必ず必要
「事業用電気工作物」を設置する者は,「事業用電気工作 物」の工事,維持及び運用の保安の監督をさせるため,原則 として,次のいずれかの方法によって工場,事業場等の「事業用電気工作物」ごとに主任技術者を選任しなければならないことになっています.
「事業用電気工作物」を設置する者は,主任技術者に二以上の事業場又 は設備の主任技術者を兼ねさせてはならない.ただし,「事業用電気工作物」の工事,維持及び運用の保安上支障がないと認め られる場合であっ て,大臣の承認を受けた場合は,主任技術者に二以上の事業場又は設備の主任技術者を兼ねさせることができる.
しかし次のような条件を満足するような場合,電気主任技術者を選任しないことも認められています.
「事業用電気工作物」のうち「自家用電気工作物」であって,出力 500kW未 満の発電所(原子力発電所を除く)のみに係わる設置の工事のための事業場及 びこれを管理する事業場を直接統括する事業場, 70V以下で受電する最大 電 力 1000k W未 満 の 需 要 設 備 の み に 係 わ る 設 置 の 工 事 の た め の 事 業 場 及 びこれを管理する事業場を直接統括する事業場,又は電圧 60V以下の配電線 路を管理する事業場のみに係わるこれを管理する事業場を直接統括する事業 場のうち,当該発電所,需要設備又は配電線路を管理する事業場の工事,維持 及び運用に関する保安の監督に係わる業務を委託する契約(以下「委託契約」 という)を別に告示する要件に該当する者又は別に告示する大臣が 指定する者と締結しているものであ って,保安上支障がないものとして大臣の承認を 受 けた場合は選任は不要となります。
まとめ
以上のように,基本的には, 主任技術者免状の交付を受けている者のうちか ら主任技術者を選任しなければなりませんが,「事業用電気工作物」のうち r自
家用電気工作物」の一部については,通商産業大臣の許可を受ければ主任技術 者免状の交付を受けていない者でも主任技術者として選任できます.
また,基本的には,「事業用電気工作物」ごとに 主任技術者を選任しなけれ ばなりませんが,限定された条件を満足するものについては,通商産業大臣の 承認を受けた場合, 主任技術者に二以上の「事業用電気工作物」の主任技術者 を兼ねさせることができます.
さらに,「 自家用電気工作物」であって,定められた条件を満足するものは, 通商産業大臣の承認を受けた場合,その電気主任技術者を選任しないことが できます.
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