現在は技術の進歩により、自家用電気工作物で使う設備も安全度が高くなりました。しかし、絶対に事故が起こらないわけではありません。
電気設備の事故は停電を伴い、特に構外への波及事故は、社会に多大な影響を及ぼすことになります。
これらの事故を防止するためには、定期的な点検を実施し不良箇所を早期に発見して、未然に事故を防止する必要があります。
保全における点検の役割とは、機械が故障する前に故障の予兆を察知して調整や部品交換等の処置を行って、何事も無かったかのように運転を継続させることです。
それでは、電気設備の点検・試験による、各種電気設備の保安管理を見ていきましょう。
電気設備の不良箇所の手直し
電気設備の月次点検及び年次点検等は、点検・試験の結果や至急修理、または改修を必要と するものを発見した場合には、設置者にその修理等が必要な旨を説明し、改修を要請します。そして「自家用電気工作物に関する連絡書」２通を作り、1通は設置者に提出し、もう１通は設置者の確認印をもらって電気管理技術者等が保管し、不良箇所等の改修及び改善に努め、事故の未然防止を図ることが電気管理技術者等の重大な任務の一つであり、時期が遅れないように毎年定期的に実行しなければなりません。
電気設備事故の危険予知
電気設備の異常状態の大別について、保護装置が動作したが事故ではなさそうな場合及びいまは事故になっていないが、その前兆になるような現象と状況が出た場合、又は、計測結果が好ましい値でない場合になったときに、どのようにして問題点を解明するかについて確認して行きましょう。
保護装置の動作について、ＯＣＲ、ＧＲ、ＣＢ、ＬＢＳ、ＥＬＢ等が動作した場合は前兆となります。また計測及び試験結果の不良があり、主として年次点検時に発見されるもので、継電器の特性不良、絶縁不良、接地不良、絶縁油不良、接触不良及び漏電、過負荷等があります。
そして目視点検で見つかるもの変形、固定不良、劣化、変色、離隔距離不足、異物接近、過熱等があり、不良工事や機器材料の不良があります。
電気設備調査の着眼点，原因究明及び対応
保護装置の動作について、「ＯＣＲ」は電流が流れた可能性があり予想外の異常電流を流す可能性がある負荷機器の有無，速応性のある記録計による測定が必要になります。「ＧＲ」はＺＣＴ以降の対地静電容 量が大きくなると、外部での事故時にＺＣＴに零相分が流れＧＲが動作し、いわゆるもらい事故になることがあります。「ＣＢ」は変圧器，コ ンデンサの突入電流により動作することがあります。「ＥＬＢ」はノイズ，突入電流， 負荷電流の波形のひずみによっても動作します。
そして目視点検で見つかるもの判断が難しくなるが、機械設備の配置や取り付け状況及び、変形、亀裂、腐食、汚れ、油漏れ、ボルトの緩み、異常音などの有無を確認します。
基本的には原因を調査してそれを取り除き、また性能に問題があるのであれば試験・測定をして良否を判定して、交換・修理等の対策が必要となります。
不良工事 本来は工事監督の際の問題であるが，種々の事情でチェックできなかったものが、使用開始後の点検・試験で見つかることもあります。
まとめ
有効な点検を行う為には、点検内容をその機械が必要とする内容にしていく必要があるということであり、それを安易に点検項目を減らし、点検周期を延ばし、点検内容を簡略化することにより効率化を図ることは危険なことです。点検項目を減らす、点検内容を簡略化するだけではなく、点検の効率化を行うにはどういった方法があるかも考えていくことが必要になっていきます。
危険有害要因を発見して、これらを事前に除去することで正常な状態を維持し、安全かつ円滑な作業行動が行えるようにします。したがって、点検実施者はこの目的を十分に理解・把握して点検し、その状況や結果を記録します。
異常を認めた場合は、必要に応じて直ちに改善し、あるいは必要な報告・連絡・指示等を行いましょう。
電気設備は快適で豊かな生活を営むうえでなくてはならないものとして、私たちの生活に溶け込んでいますが、電気は、生活を豊かにする一方、取り扱いを間違えると、私たちの安全・安心な暮らしを脅かすような事故を招くことがあります。
どんなに優れた技術であっても、安全性が担保されない場合、その普及はおぼつかないものとなってしまいます。このため、我が国の高度成長期における電気の急速な普及を、この電気事業法が陰で支えていたともいえます。
また、安全・安心の確立に向けた取組みは、常に時代にあった要求に対応していくことが大切です。
皆様の電気設備不良個所の対応について、本ブログが、皆様の理解の一助となれば幸いです。
働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。
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