事故事例の目的としては、事故の再発防止・未然防止を目的として、現場で発生した事故、ヒヤリ・ハット等の情報を収集・活用し、対策を講じることができます。
ハインリッヒの法則では、1件の重大な事故・災害の背後には29の軽微な事故があり、その背景には「ヒヤリ」としたり「ハット」したりするような300の出来事が存在するといわれています。
大事故は、偶発的に起こるものではありません。日常の「ヒヤリとする体験」や「ハッとする出来事」は、いずれ大きな事故につながる前兆であることを理解し、このような体験や出来事があった場合はそのままにせず、何らかの対策を講じておく必要があります。
また、日頃からヒヤリ・ハット事例を記録し、事例を出し合い共有することもリスクマネジメントの観点からは大切なことです。
作業者が、現場の安全を確保するためには、どのような事故が発生しているかを知ることが大切で継続的に情報収集することが重要です。
事故の状況
当事業場は,製材工場であり事故当日は, 19時頃まで残業を行う予定であった.
18時 32分,突然,外でボーンという音がした と同時に停電した.また,電力会社側では GSR (異相地絡継電器)が動作した.
直ちに,事業場の職員が工場から外へ出ると,キュービクルから白煙がでていた.
18時 50分,事業場の職員は,当事業場だけが 停電したのだと思い,工事会社へ連絡をした.
18時 5分,電力会社の係員が来所し,当事業 場が事故点であることを知らされた.
直ちに,電気管理技術者に連絡をしたが,電 話番号が変わっていて連絡がつかなかった.
また,電気管理技術者は, 4月からは,月ごとの 点検にもきていなかった.
電力会社の係員が調査した結果, LBS (高圧 気中負荷開閉器)にねずみが接触して地絡,短 絡したことが判明した
19 時 17 分 , 電 力 会 社 キ ャ ビ ネ ッ ト 内 の 自 家 用側ピラージスコンを開放し,配電線は復旧し た.19時 30分,工事会社の作業員が現場に到着したが,夜になってきたので復旧資材の調達が 難しいため,復旧作業は翌日に持ち越すこととした.
翌日, 15時 0分から LBSの取替作業に取りかかった.
17時 0分,取替工事の終了後,絶縁耐力試験を実施し,異常がないことを確認し,本復旧と なった.
事故の原因
キュービクル本体には侵入口がなく,低圧盤下 のピットの鉄板が若干移動していて,このすき ま か ら ね ず み が 侵 入 し , ヒ ュ ー ム 管 を 経 て L B S に接触したものと思われる.
事故再発の防止対策
(1) キュービクル内のすきまには,すべてコーキング等をして,小動物が入らないよう改 修を行った.
(2) 管理技術者についても,後任者の手続 きを行い,自主保安体制の確立を図ることにし た.
電気事故時の電話連絡の方法
自社の設備に波及事故の原因を発見し, 電力 会社の管轄営業所に電話連絡しても,通話中で 連絡できないのが一般的である.
配電線に停電事故が起こると,自家用需要家 はもとより,一般供給需要家からも,問合せや 苦情の電話が,電力会社の営業所に殺到し,た ちまち電話 回線はふ さがれてしまう .
したがって,事故発生需要家からの連絡は, 電力会社の他の営業所または支店,あるいは本 店に連絡することが望ましい.
電力会社の本店・支店・営業所間には,保安 用の専用電話回線があり,当該営業所の一般電 話回線がふさがれていても,連絡は可能である.
波及事故発生需要家からの電話連絡が,的確 に行われれば,停電は 30分以内に解消される が,連絡がない場合は,事故点探査に手間どり,1時間以上かかるのが通例である. つまり,停電時に電力会社に問合せの電話をすることは,無意味であるばかりでなく,事故 復旧の妨害となる.電力会社も,事故点や事故 原因,復旧時間などは,事故点探査が終了するまでわからないし,答えようがない.
まとめ
作業者が現場で発生した事故情報、ヒヤリ・ハット情報を適切に収集し、組織的に事故防止のための対策を推進した場合、事故件数の減少や利用者からの信頼・評判の向上の効果が期待できます。
使用する設備・工具については、正しい使用方法と内在する危険性について理解させ、事故が起きないよう常に注意して使用するよう情報を共有しましょう。
働く人の安全を守るために有用な情報を掲載し、職場の安全活動を応援します。
働く人、家族、企業が元気になる現場を創りましょう。
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